発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012185416
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72歳男。心窩部鈍痛、嘔気、全身倦怠感が出現し、著明な血小板減少、DICを呈し当院に入院となった。前腕・下腿に多数の出血斑、白血球の軽度増加、軽度貧血、血小板の著減およびLDH上昇を認めた。造影CTで脾臓に斑状の造影効果を伴う腫瘤、肝臓に造影効果の乏しい小結節の散在を認めた。骨髄穿刺・生検で異常所見なく、脾摘の組織診断はDICの高リスクと判断し、悪性リンパ腫に準じ化学療法のVP療法とCVP療法を施行した。しかし、肝臓の結節病変は増加し、DICも改善しなかった。第42病日に経静脈的肝生検を行うも診断に至らず、血小板、新鮮凍結血漿製剤を補充し、第79病日に開腹脾臓摘出術および肝生検を施行した。脾臓は腫大し白色の腫瘍が浸潤し、HE染色で紡錘状血管内細胞と類洞様構造を認め、腫瘍細胞はCD31とCD34の一部陽性を認め、脾臓原発血管肉腫と診断した。第87病日より、遺伝子組み換え型インターロイキン2製剤(rIL-2)投与を開始したが効果なく、第108病日に肝不全で死亡した。剖検所見では、肝臓は腫大しほぼ全てが腫瘍組織に置換され、多臓器に微小転移しており、化学療法による治療効果の変化は認められず、出血斑を腎表面、消化管に認めた。
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