発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265074
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82歳女性。夕方から心窩部痛が出現、症状が持続するため当日、救急外来を受診となった。腹部造影CTでは肝臓、脾臓周囲に液体貯留がみられたほか、胃体部後壁に径5cmの胃粘膜腫瘍が認められた。また、腹部エコーでは肝臓や脾臓周囲に腹水がみられ、腹水穿刺では血性腹水が認められた。腹腔内出血を伴う急性汎発性腹膜炎と考え、開腹術を行なったところ、術中所見では腹腔内には1500 mlの血性腹水に加え、小網を解放すると凝血塊が認められた。更に胃体部後壁には1.5cm径の茎を有して連続する円盤状で多房性の腫瘍が存在し、周囲には破裂した腫瘍が確認された。以上、これらの所見から本症例は胃体部後壁から発生した壁外性腫瘍でありGISTが疑われ、腫瘍を含めて胃部分切除術が施行された。その結果、切除標本は50×30×20mm大の腫瘍で胃体部後壁より1.5cmの茎を有して付着しており、先端では破裂部が認められた。そして、病理組織学的所見から壁外性の胃GISTと診断された。尚、術後経過は良好で術後第10病日目に退院、第33病日目より補助療法としてimatinibを400mg/day内服し、目下、術後12ヵ月経過で再発の徴候は認められていない。
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