発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013031677
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75歳男性。70歳時に狭心症に対して冠状動脈ステント留置術を施行後、抗血小板薬を内服中であった。今回、突然の下腹部痛を主訴に近医を受診、急性腹症の診断で著者らの施設へ紹介となった。腹膜炎と診断され、精査加療目的で外科へ入院、腹部単純CTにて下腹部正中に直径約5cm大の嚢胞性腫瘤が認められたが、腹腔内にfree airや腹水は認めず、絶食と抗生剤投与で保存的治療を開始した。だが、腹膜刺激症状は持続したため緊急手術の施行となった。術中所見では回腸末端から約220cmの小腸に小児手拳大の有茎性で管外に突出する腫瘍がみられ、腫瘍は血腫により緊満していたが、他臓器への直接浸潤や腹膜播種はなかった。そこで、小腸原発腫瘍の腫瘍内出血と考え、病変を含め約5cmの小腸を切除した結果、切除標本の病理組織学的所見では高リスクのgastrointestinal stromal tumorと診断された。尚、経過良好で術後11病日目に軽快退院となったが、2年目に腹膜播種で再発、imatinib投与により状態の悪化は認めず、目下は外来通院中である。
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