手術手技
肝左葉外側区域の巨大腫瘍に対するliver hanging maneuverを用いた肝切除の工夫
竹中 雄也
1
,
飯田 洋也
,
生田 真一
,
相原 司
,
柳 秀憲
,
山中 若樹
1明和病院 外科
キーワード:
肝切除
,
肝臓腫瘍
,
腹部CT
Keyword:
Hepatectomy
,
Liver Neoplasms
pp.568-571
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015265073
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症例1(60歳代男性)。既往として6年前に近医で肝左葉外側区域に2cm大の腫瘍性病変を指摘されたが放置していた。今回、右季肋部痛を主訴に近医を受診、精査で肝S2/3に10cmの腫瘤性病変を認め、著者らの施設へ紹介となった。入院時、肝機能はChild-Pugh分類A、liver damage Aで、腹部造影CTでは肝左葉外側区域に径10cmの腫瘍性病変がみられ、切除術の施行となった。その結果、全身麻酔下に上腹部を正中切開し開腹すると、創直下に10cm大の腫瘍を確認、左肝静脈近傍の左冠状間膜に小孔を開け、肝左葉外側区域の背側からテーピングして、テープを牽引することで肝を挙上し、Pringle下に前方より肝実質切離を開始した。以後、S3・S2 Gltsson枝を結紮切離し肝実質の切離を進め、最後に左肝静脈、肝実質を切離、脈管処理後に冠状間膜・三角膜を切離した(手術時間2時間45分、出血量300ml)。その結果、術後合併症は認めず、患者は9日目に退院となった。症例2(60歳代男性)。C型肝炎を指摘されていたが放置していた。今回、近医にて肝機能障害を指摘され、精査にて肝S2/3に腫瘤性病変を認め、著者らの施設へ紹介となった。入院時、肝機能はChild-Pugh分類B、liver damageBで、腹部造影CTでは肝左葉外側区域に径10cm大の腫瘤性病変が認められた。対処として切除術を行なった結果、症例1と同様の手術手技により、患者は術後合併症なく、7日目に退院となった。
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