発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263639
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24歳男性。統合失調症と異食症で施設に長期入所中であった。今回、腹部膨満に施設職員が気付き精査加療目的で受診となった。所見では腹部CTにて回腸に異物と考えられる低吸収域がみられ、その部位より口側の腸管が拡張していた。同様の低吸収域は胃内にも確認され、水平断面・冠状断面の2方向からの確認により異物は5×5cm大の四角形の人工物と推察された。以上より、本症例は摂食した異物による小腸イレウスと診断され、上部消化管内視鏡を行なったところ、胃内には5×5cm大の灰色の異物を2個認められた。だが、これは弾力性が強く分割は困難で、かつ鰐口鉗子では把持困難であることからスネアを用いて摘出した。すると、胃内よりの摘出物は施設職員が前日に靴のインソールをかじっているところを目撃しており、これが原因となった異物と考えられた。以後、緊急手術の適応と判断して小切開による腹部手術の施行となり、約10cmの中腹部切開で開腹し拡張した腸管をたどっていくと回盲部より約70cmの回腸に異物が嵌頓し腸管は異物型に変形していた。更に嵌頓している部位より約20cm口側にも小さな異物があり可動性のため嵌頓している部位まで移動させて全ての異物を回腸の縦切開により摘出後に横縫合した。その結果、と摘出した異物は胃内に認めたものと同様に靴のインソールであった。尚、経過は良好で患者は術後第7病日目に退院となった。
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