発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263634
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2009年4月~2014年3月の5年間に手術を施行した閉鎖孔ヘルニア16症例(全例女性、年齢58~96歳、平均年齢81.8歳)について検討した。1)主訴は15例に腹痛、嘔吐、食欲不振など消化器症状が、1例に右股関節痛が認められた。Howship-Romberg sign(HRS)は3例のみに認められ、患側は右側が9例、左側が7例であった。2)14例は腹部CTにて術前に閉鎖孔ヘルニアと診断されたが、1例では両側股関節人工骨頭のアーチファクトのためCTによる閉鎖孔の評価は困難であった。また、残る1例は身体所見から大腿ヘルニア嵌頓と診断され、CTは行わず手術施行となった。3)発症から手術までの時間は6~240時間(平均67.6時間)とばらつきがあった。4)嵌頓腸管は全例が小腸で、嵌頓形態は全係蹄型が4例、Richter型が10例で、開腹時に自然還納された2例は不明であった。5)腸管の整復法は牽引法が5例(うち3例は水圧法後)、水圧法が6例、開腹後に後腹膜経路から嵌頓腸管を押し出すように整復したものが3例であった。更に腸管切除を要した症例は6例で、うち4例では腸管穿孔が認められた。一方、ヘルニア門の処理では単純閉鎖が7例、卵管采や子宮と縫縮が3例、メッシュ・プラグを後腹膜経路から挿入が5例(うち1例にプラグ感染)、無処置が1例であった。尚、ヘルニア再発を1例に認められた。
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