発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012307407
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58歳女。左下腹部と嘔吐の出現で救急外来を受診した。BMI値18.3、左下腹部に圧痛、Howship-Romberg徴候を認めた。X線では、小腸の拡張像とニボー形成を認め、腹部造影CTでは左恥骨筋と外閉鎖筋の間に小腸と考えられる腫瘤を認め、左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し、緊急手術を施行した。左閉鎖孔に小腸がRichter型に嵌頓していたが、解除された腸管に壊死所見はなく、小腸切除は行わずヘルニア嚢を翻転、切開し閉鎖孔を確認した。プラグを挿入し、3.0VICRYL糸で恥骨骨膜に2ヶ所と内閉鎖筋に1ヶ所固定した。さらに3cm大にトリミングしたオンレイパッチをプラグと固定した。術後の胃内視鏡で胃潰瘍を認め、Helicobacter pylori陽性であったため除菌治療を行った。術後3年、Howship-Romberg徴候や閉鎖孔ヘルニアの再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012