臨床と研究
根治的恥骨後前立腺摘除術後に発症した鼠径ヘルニアの検討
徳田 浩喜
1
,
島名 昭彦
,
泊 賢一朗
,
坪内 斉志
,
堀 英昭
,
夏越 祥次
1小林市立病院 消化器外科・腫瘍外科
キーワード:
外科用メッシュ
,
再発
,
術後合併症
,
前立腺切除
,
鼠径ヘルニア
,
時間因子
,
治療成績
,
嵌頓
,
ヘルニア縫合術
Keyword:
Hernia, Inguinal
,
Recurrence
,
Postoperative Complications
,
Prostatectomy
,
Surgical Mesh
,
Time Factors
,
Treatment Outcome
,
Herniorrhaphy
pp.735-738
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016291564
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根治的恥骨後前立腺摘除術(RRP)による手術操作は、内鼠径輪のシャッター機構を障害することで鼠径ヘルニア発症の危険性を増加させるといわれている。そこで今回、当科で2008~2015年にRRPを行った97例を対象として術後鼠径ヘルニアの発症率を調査した(以下;検討1)。また、2009~2015年に成人男性の初回鼠径ヘルニアに対して手術を行った283例を対象とし、RRP既往のある群(20例)とRRP既往なし群(263例)に分け、ヘルニアの部位・種類・形態、嵌頓の有無、術後の再発率などを群間比較した(以下;検討2)。検討1の結果、RRP術後の鼠径ヘルニア発症は97例中18例(19%)に認めた。検討2の結果、RRP既往のある群は既往なし群に比べて両側ヘルニア発症例の割合が高い傾向にあり、ヘルニアの脱出形態はRRP既往あり群で間接型の割合が有意に高かった。嵌頓は、RRP既往なし群で8%の症例の認め、既往あり群には1例も認めなかった。ヘルニア術後の再発率は、既往あり群0%、既往なし群2%であった。
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