手術手技
腹腔鏡下手術で修復した下行結腸を内容とする上腰ヘルニア 腹腔鏡下手術に特徴的な解剖認識と手技
中川 基人
1
,
波里 陽介
,
赤津 知孝
,
永瀬 剛司
,
小島 正之
,
金井 歳雄
1平塚市民病院 外科
キーワード:
外科用メッシュ
,
腹腔鏡法
,
腹壁ヘルニア
,
下行結腸
,
ヘルニア縫合術
,
腹部CT
Keyword:
Hernia, Ventral
,
Laparoscopy
,
Surgical Mesh
,
Colon, Descending
,
Herniorrhaphy
pp.437-441
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263635
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86歳女性。左腰部の膨隆が徐々に増大したため受診となった。初診時、坐位にて明瞭となり、かつ緊満する13×12cm大の膨隆が左腰部にみられ、この膨隆は右側臥位で用手還納が可能であった。腹部CTを行なったところ、左腰部の腹壁層欠損部を主な内容とする腹壁ヘルニアが認められ、ヘルニア門は頭尾方向を長径とする6×4cm大であった。また頭側は左第12肋骨下縁に接し、尾側は腸骨稜の頭側約3cmまで、背側は腰方形筋の外側縁、腹側は内・外腹斜筋・腹横筋からなる側腹筋群の腱膜縁と考えられた。以上より、本症例は上腰ヘルニアと診断され、全身麻酔下にメッシュによる修復術が計画された。その際、メッシュを腹壁欠損よりも全周性に3cm以上広く、かつ胸腰筋膜の腹腔側面に留置したいと考え、腹腔鏡下手術を選択、術中所見ではヘルニア門は頭尾側を長径とする5.5×4.5cmの楕円形で、CT所見と一致しており、12×10cmのメッシュで必要十分な範囲を覆うことができた。その結果、手術時間は3時間23分、出血量は少量、術後疼痛もごく軽微で、術翌日より離床して経口摂取を開始、術後6日目に患者は軽快退院となった。尚、目下、術後2年6ヵ月経過で再発は認めず、慢性疼痛を含め合併症も認められていない。
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