発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015167444
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63歳男性。1週間前から右下腹部痛および背部痛が出現、次第に症状が悪化し起立も困難となったため救急搬送された。所見では腹部CTにて上行結腸の背側に長径17cm大の低吸収な腫瘤像がみられ、内部には一部airを伴っており、結腸との穿通を来した後腹膜腫瘤、または腸間膜腫瘤と診断された。緊急手術を行なったところ、術中所見では上行結腸の背側に20cm大の黄色調の腫瘤が悪臭を伴って認められたが、腫瘤と後腹膜とは通常の層で剥離することができた。以後、腫瘤は腸間膜内に存在すると考えられ、結腸右半切除術を施行して結腸と腫瘤を一塊として摘出した。その結果、摘出標本では上行結腸には憩室炎があり、腫瘤への穿通が認められた。また、腫瘤割面は黄色調で一部に膿瘍形成がみられ、病理組織学的所見では腫瘤病変は熟成脂肪組織で構成され、分葉様構造をとっており、脂肪腫であった。以上より、本症例は結腸の憩室に接して脂肪腫の内部に膿瘍が存在し憩室の穿通により膿瘍が形成されたものと考えられた。
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