発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122708
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59歳男性。右季肋部痛を主訴に近医を受診、腹部CTにて胆嚢内に結石が認められたが、総胆管に結石や膵腫大もみられず、臨床的に落下結石による軽症急性胆石性膵炎と診断された。対処として抗菌薬の投与が行われたが、発熱を伴う腹痛が増悪し、著者らの施設へ紹介入院となった。腹部エコーでは横行結腸間膜内に低エコー領域ほか胆嚢内に結石が認められたが、総胆管結石はなく、胆管の拡張もなかった。一方、腹部造影CTでは横行結腸間膜内、中結腸動脈末梢部に膿瘍が確認されたが、MR胆管膵管造影では総胆管内に結石は認められなかった。以上、これら発症時ならびに来院時のCT所見では胆石性膵炎を思わせる所見は認められず、治療においては血管誤穿刺ではリスクが高く、経皮的アプローチは困難であることから、症状増悪のため外科的ドレナージの適応と判断して手術の施行となった。術中所見では中結腸動脈周囲の横行結腸を中心に膿瘍が認められ、膵頭部にまで炎症は波及していたが、Kocherの授動術による十二指腸部の観察では炎症の波及は認められなかった。以後、胆嚢摘出術+横行結腸部分切除術を施行した結果、切除標本の病理組織学的所見では結腸間膜内には炎症細胞の浸潤、膿瘍形成、泡沫細胞が認められた。尚、術後は症状の再燃なく、患者は術後12日目に退院となった。
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