発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122705
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74歳女性。嘔吐を主訴に救急外来受診となり、左大腿ヘルニア嵌頓と診断された。治療は問診上、嵌頓から約12時間以上の経過が推測され、同日緊急手術が施行された。回腸にはRichter型嵌頓が認められ、整復が行われたが、嵌頓部位の色調と腸管運動の改善を認めたため腸切除は行わず、ヘルニア修復術を行った。術後は経過良好で第7病日目に退院となったが、第10病日目に嘔吐して救急外来受診後、イレウスの診断にて再入院となった。入院後、まず保存的加療として胃管の留置が行われ、第13病日目には排ガス、排便が認められた。以後、腹部単純X線像でもイレウスの軽快を認めたため第14病日目より3分粥から経口摂取を開始した。しかし、第16病日目に嘔吐を生じ、再度絶飲食管理とすることでイレウス症状の軽快を認めたものの、第19病日目の飲水開始により嘔気が出現、腹部膨満もみられたことから、第21病日目に準緊急的に手術が施行された。その結果、術中所見では回盲部から約40cmの腸間膜対側に円形の瘢痕がみられ、狭窄しており、これが責任部位と考えられた。そこで、同部位の部分切除を施行したところ、切除標本の病理所見では瘢痕部の粘膜は完全に脱落しており、円の外側と内側では連続性を失っており、限局性のUI-I潰瘍と考えられた。尚、患者は再手術から20日経過で軽快退院となった。
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