発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263638
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75歳男性。柿を前年秋から入院2ヵ月前まで2日に1個のペースで食していた。入院当日は昼より嘔吐を3回認め、これまでもイレウスの既往があり、癌術後であることから癒着性イレウスと診断され、消化器内科へ緊急入院となった。腹部単純X線像では小腸内にニボーが散見され、腹部造影CTでは小腸にイレウス像がみられた。閉塞機転は骨盤内の便塊貯留部が疑われたが、同部に腫瘤はなく癒着性イレウスと考えられた。経鼻管留置を行ない、入院翌日には一度は改善傾向が認められたが、入院7日目に食事再開したところイレウス症状の再び生じた。そこで、イレウス管を留置し末梢挿入中心静脈栄養による治療方針となったものの、慢性閉塞性肺疾患の既往による重度の呼吸機能障害があることから全身麻酔下の手術はリスクが高いと考え経過観察となった。だが、入院21日目の早朝排便後から心窩部痛が出現、緊急造影CTで左側腹部小腸に腸重積所見を認め、重積腸管の壊死による穿孔リスクが高いと判断して緊急手術が施行された。手術はイレウス管を引き抜きながら腸管内容物を可及的に吸引して重積腸管の緊満の軽減後に用手的に重積を整復した。そして糞石直上の腸管壁を長軸切開して茶褐色の糞石を除去した。その結果、摘出標本は55×30×30mm大で、結石分析ではタンニン98%以上の柿胃石であった。尚、術後経過は良好で患者は9日目に退院となった。
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