発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2006321779
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症例1(80歳女性).右鼠径部腫瘤,疼痛を主訴とした.症例2(86歳男性).嘔吐,腹部膨満を主訴とした.両症例ともに骨盤部CTで右大腿ヘルニア,回腸脱出と診断し,嵌頓が疑われて緊急手術を施行した.鼠径法による前方アプローチで手術を開始し,鼠径部からヘルニア嚢の還納を試みたが困難であったため,同じ術野から大腿部を剥離してヘルニア嚢を露出した.ヘルニア嚢を切開すると,小腸が嵌頓していたためこれを還納した.一方,壊死に陥っていた小腸は部分切除し,腹膜前腔を十分量の温生食水で洗浄した.修復は,Kugel パッチを腹膜前腔にunderlay パッチとして挿入することにより,1枚のパッチで閉鎖孔を含めた鼠径床全てのヘルニア門を同時に十分被覆することが可能であった.尚,症例1の術後経過は良好で,創感染もなく術後13日目退院となった.症例2は腸麻痺がやや遷延したが,創感染もなく術後22日目に退院となった
©Nankodo Co., Ltd., 2006