臨床経験
根治切除不能なStageIV大腸癌に対して原発巣切除を先行する意義
奥本 龍夫
1
,
横山 伸二
,
野田 雅史
,
松原 長秀
,
掛地 吉弘
,
冨田 尚裕
1姫路聖マリア病院 外科
キーワード:
質問紙法
,
肝臓腫瘍
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍進行度
,
腫瘍播種
,
リンパ行性転移
,
人工肛門造設術
,
ステント
,
大腸腫瘍
,
肺腫瘍
,
腹膜腫瘍
,
アジュバント化学療法
,
大腸切除
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Neoplasm Seeding
,
Liver Neoplasms
,
Lung Neoplasms
,
Lymphatic Metastasis
,
Neoplasm Staging
,
Peritoneal Neoplasms
,
Surveys and Questionnaires
,
Colorectal Neoplasms
,
Stents
,
Chemotherapy, Adjuvant
pp.1630-1635
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122704
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根治切除不能なStageIV大腸癌症例の遠隔転移例において、原発巣切除を先行する意義に関するアンケート調査を兵庫大腸癌治療研究会参加47施設において行なった。回収された30施設(64%)からの回答内容について考察した結果、1)2012年1年間に大腸癌と新規診断された症例数は50~150例(中央値98例)であり、全施設の合計症例数は3245例であった。このうちStage IV大腸癌症例の割合は13%(371例)で、1施設あたりの中央値は10例であった。2)根治切除不能となった371例における理由の内訳は肝転移が66%と最も多く、次いで肺転移、腹膜播種、リンパ節転移が約20%であった。副腎転移と骨転移は2%程度であった。3)根治術不能例の理由は根治度Bを得ることが可能であるものの全身状態不良が11例、切除不能、皮膚転移、切除不能脾臓転移が各1例であった。4)根治切除不能例371例中206例(56%)では原発巣切除をせずに化学療法を施行、原発巣切除後に化学療法施行症例の割合は最大で58%(中央値29%)であり、施設間の格差が大きかった。5)原発巣を切除せず化学療法を施行した107例の内訳は以下で、それぞれ「人工肛門造設・ステント挿入もせず化学療法施行例」が53%、「人工肛門造設後に化学療法施行例」が46%、「ステント挿入後化学療法施行例」が1例で、根治術不能な症例で化学療法不可能症例は58例(16%、中央値11%)であった。
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