発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015084593
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71歳男性。他院にて右鼠径ヘルニアの手術を受けるも、右鼠径部の膨隆を認め、軽度の疼痛を伴うため著者らの外科へ受診となった。入院時、右鼠径部の手術創直下に鶏卵大の膨隆が認められたが明らかな疼痛はなく、容易に整復も可能であった。一方、腹腔鏡下に右鼠径部を観察すると、前回挿入された内鼠径輪のプラグの外側から突出する1cm以上3cm未満の外鼠径ヘルニアが確認され、膨潤麻酔法を併用した腹腔鏡下経腹的腹膜前鼠径ヘルニア修復術が施行された。手術は右側鼠径部周囲の腹膜前腔内に膨潤液を注入し、腹膜を内鼠径輪の外側から内側臍ヒダまで切開、内鼠径輪とプラグの背側に腹膜切開を加え、ヘルニア嚢を全周性に切離してプラグを腹膜から遊離させた。そして背側腹膜を把持し、膨潤液で膨化して、索状に伸びた腹膜前筋膜深葉と腹膜前脂肪組織を一緒に腹膜から剥離し、更に精巣動静脈と精管も背側腹膜から剥離、剥離層を外側三角の背側・外側・腹側へと延長した。以後、下腹壁動静脈からHesselbach三角周囲の腹側腹膜を剥離してCooper靱帯を露出、Cooper靱帯・腹直筋外縁・腹横筋腱膜弓をタッカーにて固定後に腹膜切開部を連続縫合して閉鎖した。その結果、術後経過良好で、患者は術後4日目に退院となった。尚、手術時間は83分、出血は少量であった。
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