発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2016316479
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49歳男性。右鼠径部腫瘤を認め、受診となった。所見では右鼠径部恥骨付近には立位で約3cm大の腫瘤が認められ、右鼠径ヘルニアの再発と診断された。画像検査は行わず、経腹腔的腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP)を施行したところ、術中所見では内外鼠径窩にヘルニアの原因となる腹膜陥凹は認められなかった。だが、腹膜外型ヘルニアの可能性も考えて手術は続行され、腹膜を切開して腹膜前腔を剥離したが、内外鼠径ヘルニアや大腿ヘルニアなどの鼠径部ヘルニアは確認できなかった。そこで、内鼠径輪を観察すると、脂肪組織が認められ、これを牽引すると鼠径管から脂肪組織が出てきた。以上より、本症例は精索脂肪腫と診断され、可及的に摘出した後、メッシュを留置、固定して、腹膜縫合し、手術を終了した。その結果、術後は経過良好で、以降、再発は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2016