発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014367343
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78歳男。下血、ふらつきが出現して救急搬送され、内視鏡で胃体上部小彎に50mm大の2型腫瘍を認め、生検で充実型低分化腺癌(por1)と診断された。開腹下に幽門側胃切除術、Billroth I法再建およびD郭清を行い、術後に誤嚥性肺炎を認めたため皮下埋め込み式ポートを留置し、中心静脈栄養を行った。術後約3ヵ月に誘因なく歯肉出血を認め、重度歯周炎の診断で左側上顎犬歯・小臼歯を抜去した。しかし、その後も歯肉出血を繰り返し、抜歯後4日より血尿、皮下出血が出現して出血性貧血を来たした。精査を行ったところAPTTの延長を認め、投薬治療を行うも出血傾向に改善なく、更なる精査で自己免疫性疾患は否定的であり、第VIII因子活性の低下、第VIII因子インヒビターの上昇を認めることから後天性血友病と診断した。また、術後4ヵ月に行なったCTで縦隔リンパ節、傍大動脈リンパ節の腫大を認め、CEAおよびCA19-9が上昇していたことから、胃癌の進行が判明した。遺伝子組み換え活性型第VII因子製剤を用いて治療を開始したが、悪性腫瘍による出血傾向および誤嚥性肺炎を併発し、現在は内科治療を継続中である。
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