発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014367342
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62歳女。意識障害で入院し保存治療で軽快したが、入院後11日に腹痛・嘔気が出現し当科紹介となった。起立困難、両下肢の知覚鈍麻を認め、CT(MPR法)で上腸間膜静脈から回結腸静脈内にわたる陰影欠損、右下腹部の造影効果の乏しい腸管、腹水を認めた。上腸間膜静脈血栓症による回腸壊死と診断し、緊急に開腹手術を行った。手術所見で回腸末端より口側約40~90cmに暗赤色の回腸を認め、術中超音波所見に基づき上腸間膜静脈を切開して血栓を摘出した後、壊死腸管を含む回盲部切除術を行った。病理組織診断は、上腸間膜静脈血栓症による小腸壊死、血管内B細胞性悪性リンパ腫であった。術後に胸水貯留・全身浮腫を認め、起立困難および両下肢の知覚鈍麻が増悪し、可溶性インターロイキン-2受容体の軽度上昇を認めた。術後18日にR-CHOP療法を開始し、術後28日の造影MRI所見より起立困難および両下肢の知覚鈍麻は血管内悪性リンパ腫の髄膜浸潤によるものと診断された。術後13ヵ月の現在、起立困難および両下肢の知覚鈍麻は継続しているが、血栓の再発は認めていない。
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