発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005034231
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
85歳男.腹痛,便秘,続いて黄疸が出現した.著明な黄疸,胆道系酵素・アンモニアの上昇を認め,臨床経過,画像,血液検査所見などから,クロールプロマジンが原因と考えられる薬剤性の胆汁うっ滞性黄疸と診断した.肝庇護薬などを投与したが黄疸は軽快せず,その後,ショック状態を呈し,全身性炎症反応症候群(SIRS)へ進展した.腹部単純X線写真では腹腔内に遊離ガスを認め,消化管穿孔の診断で発症後16時間目に緊急手術を行った.大腸内には硬便を多量に触知し,S状結腸の腸間膜対側に約1cmの穿孔と便の流出を認めた.穿孔部を含めて高度に汚染されていたS状結腸を切除した.宿便性大腸穿孔と病理組織診断した.術後は,黄疸に対してはビリルビン吸着を,SIRS状態に対してはエンドトキシン直接吸着と持続的血液濾過透析を併用した.一時的に播種性血管内凝固症候群(DIC)になったが,全身状態の改善と共にDICからも回復した.しかし,手術から9日後に急激な肺炎の悪化のため死亡した
©Nankodo Co., Ltd., 2004