発行日 2014年8月1日
Published Date 2014/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014298173
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84歳女。嘔吐、臍部痛を主訴とした。身体所見、検査所見、画像所見より消化管異物による腸閉塞と診断して保存的治療を選択したが、腹痛が増強し筋性防御が出現した。緊急開腹すると、腹腔内には多量の膿性腹水を認め、原因小腸には多数の狭窄部位が隣接し、このうち1ヶ所は小腸同士が強固に結合していた。また、ほかの小腸間膜内には膿瘍形成がみられ、小腸部分切除術を行った。切除標本では最も肛門側の狭窄部位に接合した二つの磁石があり、その口側に膿瘍形成と瘻孔形成を認め、病理診断は長期間持続した原因不明の慢性小腸炎であった。術後は腹部症状の再発を認めていない。本症例は高度の認知機能障害を持つ高齢者で、小腸炎や瘻孔形成などが最近数ヵ月間に生じていた可能性が高く、切除小腸内から二つの磁石を認めたことから、複数個の磁石誤飲が慢性小腸炎、瘻孔形成の原因と考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2014