発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003308846
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34歳女.妊娠末期に認めた下腹部腫瘤が出産後急激に増大し,精査にて腹腔内または腹壁の腫瘍と診断された.入院時,左下腹部の弾性硬,可動性不良の腫瘤と軽度貧血を認め,CA19-9はわずかに正常値を超えていた.腹部超音波,CT,MRI,血管造影所見から約11×10×10cm大の球形腫瘤は腹腔内または腹壁の筋原性,神経性腫瘍や,悪性線維性組織球症,デスモイド腫瘍などが疑われ,悪性も否定できなかったため施術した.腫瘤は一部腹直筋,鼠径靱帯,後腹膜に癒着を認め,浸潤も疑われたため,一部合併切除,摘出し,病理組織像や免疫染色から腹腔内デスモイド腫瘍と診断した.腫瘤増大には妊娠に伴うホルモン変化の影響の可能性が考えられたがエストロゲン受容体の検査は行われていなかった.大腸腺腫症は合併しておらず,術後1年経過後も再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2003