発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007098921
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78歳女。下腹部痛と発熱を主訴とした。血液検査で炎症所見と軽度肝障害を認め、大腸内視鏡検査でS状結腸に多発する憩室とその炎症所見を認めたため、S状結腸憩室炎と診断したが、セフォゾプラン投与による保存的療法では改善しなかった。CT検査にて肝外側区域の門脈末梢と下腸間膜静脈内にガスを、また下腸間膜静脈内に血栓を認めた。ヘパリン末梢静脈内持続投与を開始し、抗生物質をmeropenem trihydrateとクリンダマイシン併用に変更した結果、発熱は次第に軽快し、ヘパリン投与7日目には門脈血栓とガスは消失した。その後、S状結腸憩室炎が再燃を繰り返すためS状結腸切除術を施行した。病理組織学的に古い出血巣と好中球からなる膿瘍があり、その周囲にリンパ球・形質細胞浸潤と線維化を認め、憩室炎が波及して膿瘍が形成されたと考えられた。術後14日目に退院し、2年経過現在異常なく日常生活を送っている。
©Nankodo Co., Ltd., 2007