発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014042096
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症例は41歳女性で、幼少時に鼠径ヘルニア手術、35歳時に子宮癌で子宮全摘術の既往があった。臍周囲の腹痛で当院婦人科に緊急入院し、急性腹症の診断で当科に転科した。腹部は膨満し全体に圧痛、臍周囲に反跳痛を認めた。検査では血清クレアチニン、BUNの軽度上昇以外に異常は認めなかった。X線で異常所見はなく、造影MDCTで中等量の腹水と左上腹部に嚢状に陥入した小腸を認め、小腸間膜内の脈管の収束像を認めた。左傍十二指腸ヘルニアの診断で緊急手術を行った。術中横行結腸間膜背側のTreitz靱帯周囲にヘルニア門を認め、ヘルニア門は横行結腸間膜と空腸間膜の異常な癒着で形成されたと判断し、癒着剥離後にヘルニア内の空腸は減量した。空腸の血流不全は認めず腸切除は行わなかった。ヘルニア嚢は認めず、十分にヘルニア門を開放して手術を終了した。術後の上部消化管造影で左上腹部にあった腸は認めず、造影剤の通過は良好であり、術後18日目に退院した。
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