発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005156415
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36歳女性.患者は食後の心窩部痛,嘔吐で近医を受診し,胃十二指腸潰瘍と診断され,内服治療を受けていた.しかし,軽快しないため紹介受診となった.CTでは膵体部前面と胃背側間に滑らかな境界を持つ嚢に包まれた小腸の集塊像を認め,経口小腸透視ではTreitz靱帯近くで空腸の一部が円弧状の集塊を形成し,体位変更や圧迫で変化しなかった.傍十二指腸窩をヘルニア門とする左傍十二指腸ヘルニアと診断し,腹腔鏡補助下に手術を施行したところ,引き出した陥入小腸の漿膜に軽度発赤を認めたが,拡張や壊死はなかった.しかし,傍十二指腸窩は大きく陥没し,後腹膜の襞でヘルニア門が形成されていた.そこで,ヘルニア門閉鎖の血管損傷を危惧し,ヘルニア門直上に5cmの皮膚切開を加えて行った結果,第10病日のCT,小腸造影では小腸の集塊像は消失し通過良好であった
©Nankodo Co., Ltd., 2005