発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017114820
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60歳男。嘔吐による食事摂取不良から低ナトリウム血症となり意識障害を来した。胸部腹部造影CTでは上腸間膜動脈と腹部大動脈の間で十二指腸水平脚が狭窄し、上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)と思われた。更にその先で空腸が一部嚢状に拡張し、やや太い下腸間膜静脈(IMV)が腹側を走行し狭窄を起こしていた。小腸造影検査で十二指腸水平脚の狭窄を超えてイレウス管を挿入し造影したところ、Treitz靱帯近傍の空腸が一部拡張しその先に狭窄を認めた。以上より、SMA症候群およびその肛門側での左傍十二指腸ヘルニアと診断し、腹腔鏡下手術を施行した。IMV右側で切開して間膜同士の癒着を剥離し、ヘルニア門を広く開放してヘルニア嚢を切開したところ、小腸が十分に授動された。SMA症候群の増悪を懸念してヘルニア門の開放のみにとどめ、イレウス管を挿入したまま手術を終了した。術後経過は良好で、造影検査では水平脚の狭窄は認めるものの通過障害は認めなかった。SMA症候群に準じた食事指導を行い、術後10日目に合併症なく退院し、再燃は認めていない。
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