発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263644
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47歳男性。間欠的な腹痛が持続的となったため近医を受診、腹膜刺激症状から急性腹症の診断で著者らの救急外来へ紹介入院となった。腹部X線像ではcoffee bean signほか、腹部骨盤造影CTでは右上腹部、肝表面まで達するS状結腸の著明な拡張と、それによる右肝葉の圧迫所見が認められ、S状結腸軸捻転症と診断された。以後、緊急下部消化管内視鏡による整復が施行されたが、入院7日目の注腸検査でS状結腸過長症を発見、再発予防目的で腹腔鏡下S状結腸切除術施行の方針となった。下部消化管内視鏡を行なったところ、捻転の解除後に直腸S状結腸部からS状結腸にかけて粘膜の発赤、浮腫など炎症所見が認められたが、壊死を疑う所見は認めなかった。一方、注腸検査ではS状結腸は軽度の拡張ほか、S状結腸過長症を認め、S状結腸軸捻転の再発リスクが高いと判断して腹腔鏡下手術が施行された。術中所見ではS状結腸は上行結腸の背側を通り、右上腹部の後腹膜に癒着固定していた。このことからS状結腸を授動し、下腹部の小開腹創からS状結腸を創外に誘導後、切除吻合した結果、術後経過は良好で、患者は9日目に退院となった。目下、4ヵ月経過で術前に認めた便秘は改善し、腸軸捻転の再発も認められていない。
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