発行日 2013年7月1日
Published Date 2013/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013367599
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80歳男。食後の急激な繰り返す嘔吐を主訴とした。造影CTで腎動脈以下に、前方に突出する最大径44mmの嚢状の腹部大動脈瘤(AAA)を認めた。上腸間膜動脈とAAA、腹部大動脈により十二指腸3rd portionが狭窄し、十二指腸2nd portionと胃の拡張を認めた。絶食と補液による保存療法を開始し、14日後に十二指腸造影を行ったところ、十二指腸3rd portionが壁外性に圧迫され、直線様断裂像の所見が得られた。固形物の通過障害が継続し、保存療法で症状の改善は見込めないと判断し、AAAに対しステントグラフト挿入術を行った。術後経過は良好で、術翌日より全粥食を開始した。嘔気・嘔吐の出現はなく、CTでも動脈瘤内へのリークを認めず、術後8日に退院となった。術後3ヵ月の現在、再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013