発行日 2008年3月1日
Published Date 2008/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008148993
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
70歳男。嚥下時のつかえ感を主訴とした。固形物は通過せず流動食のみを摂取しており、臨床検査所見にてSCC異常高値で、上部消化管造影所見で胸部食道下部左壁を中心とする不整な隆起を伴う狭窄像を認めた。上部消化管内視鏡所見では上歯列から35cmよりほぼ全周性の不整隆起を認め、その周囲はLugol不染帯を認め、同部の組織生検の結果、高分化扁平上皮癌の診断であった。胸部CTでは胸部下部食道の腫瘤を認め、大動脈とは一部接していたが、画像上明らかな隣接臓器への浸潤は認めなかった。以上より手術を施行したが、手術所見にて下大静脈、大動脈への浸潤を認め、T4と診断し切除不能と判断した。術前経口摂取不能であったことを考慮し、Y字胃管バイパス術を施行、術後は放射線化学療法を行った。放射線治療後の胸部CT所見よりCRの判定で、術後4年10ヵ月経過現在、再発徴候は認められない。
©Nankodo Co., Ltd., 2008