発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013350527
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89歳女性。排便がなく、食欲が低下し、その数日後より頻回の嘔吐、腹痛が認められるようになった。腹部単純X線所見では拡張した小腸および大腸ガス像が認められた。また、腹部造影CT所見では小腸および大腸の著明な拡張が認められ、直腸S状部には造影効果を伴う壁肥厚像がみられた。更にその口側に内部低濃度、周囲がリング状の高濃度陰影が確認された。以上より、本症例は直腸S状部の狭窄部に種子が嵌頓したことによるイレウスと考え、下部消化管内視鏡検査を行なったところ、直腸S状部に2型病変が認められた。そこで、周性狭窄のため内視鏡の通過は不可能であり、減圧目的に経肛門的イレウス管を挿入した結果、経肛門的イレウス管は翌日には抜けていたが、その後は大量の排便がみられ、腹部症状は改善した。以後、直腸癌・種子嵌頓による腸閉塞の術前診断から待機的手術として下腹部中切開で開腹、直腸S状部には腫瘤が触知され、その口側の腸管は拡張していた。手術はD2リンパ節郭清を伴った高位前方切除術にて一期的に吻合されたが、直腸S状部には全周性35×30mm大の2型病変がみられ、口側腸管にウメの種も認められ、これが嵌頓していた異物と判断した。尚、患者は術後3日目より食事開始し、術後26日目に退院となった。
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