発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010284105
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84歳男性。患者は下腹部痛を主訴に、精査加療目的で著者らの施設へ入院となった。所見では下腹部を中心に圧痛、筋性防御およびBlumberg徴候がみられ、血液生化学検査では炎症所見と脱水が認められた。また、腹部単純X線では右横隔膜下にfree air、骨盤内に3cm大の石灰化像が確認され、腹部CTではfree airと腹水、拡張腸管内にhigh densityの異物を認められた。以上より、本症例は穿孔性腹膜炎と診断され、緊急開腹術を施行したところ、手術所見では回腸末端より210cmの小腸に高度の狭窄および2mm大の穿孔部がみられ、穿孔部の口側腸管内には硬い異物があることが認められた。そこで、狭窄部、穿孔部、異物を含め小腸部分切除術を行った結果、切除標本から腸管内の異物はクリであることが判明した。以上より、本症例はクリにより食餌性イレウスを呈し、小腸穿孔を起こしたことが考えられた。尚、術後経過は良好で、手術から20日目に患者は軽快退院となった。
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