発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013325746
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79歳女。右鼠径ヘルニア手術の際に右下腹部腫瘤を指摘された。婦人科でのCTで右下腹部に中心壊死を伴う充実性腫瘤を認め、右卵巣腫瘍の診断で手術を行ったが、卵巣に異常はなく、大網に腫瘍を認め当科紹介となった。上腹部正中切開で開腹したところ、大網内に小児頭大の腫瘍を認め、横行結腸間膜に浸潤していた。多臓器に転移はなく、大網原発の腫瘍と診断して大網と共に横行結腸部分切除を行った。病理検査で紡錘形細胞のいわゆる花むしろ状配列(storiform pattern)の増生像を認め、もう一つの所見として、小範囲に認められる多形性を示す腫瘍細胞と巨細胞が混在するpleomorphic patternを認めた。以上より、基本的な組織型はstoriform-pleomorphicの悪性線維性組織球腫(MFH)と診断した。また、腫瘍の多くの部位に、腫瘍細胞の間に少量から多量の粘液を産生するmyxoid MFHの部分が島状に散在していた。術後経過は良好で、退院後は外来で経過観察を行ったが、術後4年に腹腔内再発により死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2013