発行日 2013年6月1日
Published Date 2013/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013325744
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72歳女。嘔吐、体重減少を主訴とした。上部消化管造影で十二指腸第4部に全周性の狭窄像を認め、造影CTではTreitz靱帯近傍の十二指腸第4部に不整な壁肥厚を認め、口側十二指腸が拡張していた。十二指腸第4部癌(T4N0M0、Stage II)と診断し、開腹手術を施行した。腫瘍は十二指腸第4部に存在し、Treitz靱帯部で漿膜浸潤を認め、更に周囲小腸間膜・結腸間膜・後腹膜への直接浸潤も認めた。根治切除は不可能と判断し、消化管閉塞症状の解除を目的に十二指腸部分切除術を施行し、再建は側々吻合で行った。病理診断は中分化型腺癌、T4N0M0、Stage IIであったが、癌は漿膜を越え周囲脂肪細胞へ浸潤しており、結腸間膜剥離部と思われる部位で切除断端陽性であった。術後、吻合部の通過障害による軽度の胃拡張を認めたが保存的に改善し、術後30日に退院した。退院後は化学療法としてS-1の内服投与を開始し、1年を経過したが再発は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2013