発行日 2011年5月1日
Published Date 2011/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011257501
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22歳男。交通外傷により、下腹部に外出血を伴う開放創を認め、腹腔内臓器の脱出により、受傷37分後に救急搬送された。意識清明であったが、軽度のショック状態であった。右大腿に挫傷、下腹部臍下正中に開放創と腹直筋の断裂を認め、X線で恥骨結合離開、両側恥坐骨骨折、右仙腸関節離開、右寛骨臼骨折、後腹膜気腫を認めた。また、軽度アシドーシスを認めた。断裂した腹直筋、離断した動静脈を結紮し、膀胱・前立腺前面、右閉鎖孔部の活動性出血を可及的に止血した後、膀胱・前立腺右側と左恥坐骨骨折部の血液湧出部にガーゼ圧迫留置を行い、下腹部開放創は洗浄後縫縮した。引き続き、骨盤創外固定を行った。術後はICU管理を行い、縫縮しきれなかった開放創から圧迫ガーゼを順次摘出した。15日後に直腸損傷による便汁漏出を認め、横行結腸双孔式人工肛門を増設した。下腹部開放創を順次縫縮しながら洗浄処置を繰り返したところ、便汁は認めず、直腸の損傷部も閉鎖した。その後も創洗浄処置を繰り返し、小瘻孔のみとなり、リハビリテーション目的に転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2011