発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004211694
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17歳男.上腹部痛を主訴とした.バイク転倒時に上腹部を打撲した.入院時,右上腹部に圧痛と明らかな筋性防御を認め,血液検査にてWBC上昇と肝機能障害を示した.腹部単純X線検査では腹腔内に多量の遊離ガスを認め,上部消化管穿孔の診断にて緊急開腹したところ十二指腸球部前壁に5cmの裂傷があり,総胆管は膵内外胆管移行部で完全離断していた.手術は総胆管の膵側断端を膵実質内で埋没縫合し,胆嚢摘出後にRoux-en-Y法で総胆管空腸吻合による胆道再建を行った.また,十二指腸の裂傷はHeineke-Mikulicz法の幽門形成に準じて縫合閉鎖し,術後は経過良好にて退院となった.腹部損傷において胆道損傷が疑われる場合にはできるだけ早期に内視鏡的逆行性胆管造影,経皮経肝胆管造影や腹腔穿刺により確定診断を得ることが大切であり,開腹の際には胆管損傷も念頭に置いた術中検索が必要であると考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2004