発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013186090
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24歳男性。新鮮血の吐血を主訴に著者らの施設へ受診となった。入院時所見は眼瞼結膜の高度貧血および腹部心窩部の軽度圧痛が認められたほか、脈拍が102回/分と頻脈であった。一方、胃内視鏡所見では内腔全体を占めるように腫瘍性病変がみられ、胃接合部の直下から胃体中部の小彎を中心とした巨大な1型腫瘍が認められた。また、噴門部から胃体上中部の粘膜は通常のものより白色調を呈していた。以上より、手術を行なったところ、腫瘍は胃の噴門部に触知されたが、腹水や腹膜播種などの腹部食道および胃の形態には異常は認められなかった。肉眼所見からT3(SE)P0H0N2、Stage IIIBと判断し、胃全摘、膵体尾部、脾臓合併切除を施行し、2群までのリンパ節郭清を行なった結果、腫瘍は食道側の小彎上を中心に存在する径8cm程度のドーム状の腫瘤であり、更にこの腫瘤とは非連続性に噴門部前壁にIIa様の病変が認められた。更に扁平上皮は菲腫瘍性の部分から隆起性の腫瘍へと移行しており、腫瘍は扁平上皮によるイボ状の構造を呈し、上皮内に留まる扁平上皮癌の組織像であった。尚、術後は軽度の膵液漏を合併したが、保存的に軽快し、補助化学療法を半年間行うことで現在まで無再発である。
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