発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013186089
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68歳男性。6年程前より腹痛が出現し近医を受診、幽門前庭部の胃癌を指摘され、著者らの施設へ受診となった。上部消化管内視鏡により胃角部から幽門前庭部にかけて後壁中心の潰瘍を伴った3型腫瘤が認められたが、十二指腸粘膜には異常所見は認められなかった。しかし、腹部CT所見では胃幽門部を中心に約10cmの巨大な腫瘤が十二指腸および膵頭部に接していたため直接浸潤が疑われた。以上、これらの所見により、本症例は進行性胃癌と診断され、手術を施行したところ、腫瘤の主座は胃体下部後壁に存在する12×10cmの3型で、組織学的にも膵頭部と横行結腸に直接浸潤が認められた。だが、リンパ節転移はなく、腫瘍の約50%には扁平上皮癌への分化みられ、最終診断は腺偏平上皮癌となった。尚、術後は膵液瘻を併発するも保存的に軽快し、患者は術後47日目に軽快退院となったが、その後、本人の希望により補助化学寮法を試行せずに経過観察を行っていたところ、多発肝転移を来し、術後3ヵ月で死亡となった。
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