発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200977
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78歳女。嚥下困難が出現し、上部消化管内視鏡で食道下部から胃上部にかけて長径8cmの全周性2型腫瘍を認めた。生検結果は未分化癌疑いで、CTでは遠隔転移を認めなかった。局所コントロール目的にS-1 60mg/m2(3週投与2週休薬)とpaclitaxel 35mg/m2(1・8・15日目)の化学療法を施行し、2クール施行後の内視鏡で食道側浸潤の軽減を認め、開腹術施行となった。肝・腹膜転移や横隔膜など周囲臓器への浸潤はなく、食道裂孔を広げることで腫瘍口側縁を確認することができ、経腹的に胸部下部食道および噴門側胃切除術、食道胃管吻合再建術を行った。切除標本の病理組織像では多角形細胞の充実性増殖を認め、各種免疫染色は陰性で、未分化癌(非小細胞癌)と診断された。食道原発か胃原発かは確定できず、胃漿膜浸潤はなかったが、食道外膜浸潤と脾門リンパ節1個への転移を認めた。術後も化学療法(S-1)を続け、3年以上無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2010