発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002167037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
81歳女.約1ヵ月前から軽度の上腹部痛を自覚していたが放置していたところ,突然,大量吐血を起こし救急搬送された.入院時の上部消化管内視鏡所見では胃全域に亘る多発性の隆起性病変を認め,病変の一部は潰瘍形成しており,体上部から穹窿部の小彎前壁の病変上に大量の凝血塊が付着していた.検査施行中輸液,輸血,昇圧剤の投与を行ったが,血圧維持が困難なため内視鏡的止血を断念し,大量吐血を伴う胃多発性隆起性病変(胃悪性リンパ腫・多発性胃癌)の疑いで開腹手術を施行した.体上部小彎前壁の病変が肝外側区域に接し,直接浸潤が疑われた為,肝部分切除術を伴う胃全摘術(D0)及びRoux-en Y再建法(前結腸経路)を施行した.摘出標本の病理組織学的所見では胃原発悪性リンパ腫,lymphoplasmacytic typeと診断された.術後経過は順調で,追加化学療法は行わず,術後34日目に退院となり,術後10ヵ月の現在,再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2001