発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011003849
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63歳女。肋骨骨折による左胸部痛の増悪で立位保持困難となり、頭部外傷の疑いからX線で頭蓋骨に多発性punched-out lesionと胸水を認め、緊急入院した。意識の混濁、全身倦怠、全身痛があり、白血球の著明な上昇、腎機能の低下、高カルシウム血症、腫瘍マーカーの上昇を認めた。骨シンチで両側肋骨、椎体、頭蓋冠、左大腿骨に集積の増加を認め、pamidronate、elcatoninおよび大量輸液で補正しCa値は改善し意識障害も回復した。骨髄生検より骨梁近傍の一部は上皮系マーカー(AE1/3)陽性で、非上皮マーカー陰性の異型細胞と線維の増生を認め、癌の骨髄転移と病理診断した。胸水細胞診でadenocarcinomaを検出したが明らかな腫瘍病変は認めず、入院後約1ヵ月に大量胸水による呼吸器不全悪化で死亡した。体幹部のみの剖検より膵腺扁平上皮癌と診断し浸潤と転移も認めた。
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