発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008300518
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74歳男。食欲不振が出現した。嘔気、嘔吐のため入院となった。上部消化管造影所見では、胃前庭部に陥凹と隆起の混在する大きな腫瘤性病変を認めた。上部消化管内視鏡所見では、胃前庭部に周辺隆起を伴う潰瘍性病変があり、Borrmann 3型胃癌と診断した。幽門狭窄による通過障害のため、中心静脈栄養で栄養管理をした。血清補正Ca値が上昇し、胃癌によるhumoral hypercalcemia of malignancyと診断した。幽門側胃切除術、横行結腸部分切除、膵癒着部の部分切除、D2郭清を施行し、Billroth II法で再建した。術後化学療法として、TS-1を開始したが、うつ状態となり2週間で中止し、術後10週目に退院した。退院後4週で倦怠感と便秘が出現し、易疲労感を訴えた。腹部造影CTで肝転移の増大が著明で、左上腹部の横行結腸近傍にも転移性腫瘤を認めた。播種性血管内凝固を併発し、死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2008