発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013101691
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下部直腸癌の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後に根治手術を施行した10例を対象とし、臨床病理学的因子および手術関連因子、直腸壁線維化について検討した。腫瘍の肉眼形態は、側方発育型腫瘍が8例、それ以外が2例であった。最大腫瘍径の中央値は35mm、切除検体の最大径の中央値は45mmで、全例一括切除であった。深部断端陽性と診断された例は2例であった。術式は腹腔鏡下低位前方切除が8例、腹腔鏡下内肛門括約筋切除が2例で、9例にdiverting stomaを造設した。術後合併症は縫合不全を2例に認めた。ESDによる直腸壁の線維化に関しては、8例が筋層まで、1例は壁外の脂肪組織まで線維化を認め、術後縫合不全が発生した。さらに粘膜面での潰瘍綾痕部分より肛門側の筋層部分にも線維化を認めた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012