外科医必読 膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)のすべて
IPMN由来浸潤癌,IPMN併存膵癌の定義・頻度・特徴
佐藤 典宏
1
,
山口 幸二
1産業医科大学 第一外科
キーワード:
腫瘍遺伝子発現調節
,
腫瘍侵入性
,
腫瘍-多発性原発
,
腫瘍マーカー
,
発生率
,
膵管内乳頭腫瘍
,
組織診
Keyword:
Neoplasms, Multiple Primary
,
Neoplasm Invasiveness
,
Biomarkers, Tumor
,
Gene Expression Regulation, Neoplastic
,
Incidence
pp.129-134
発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013077682
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は約30%が浸潤癌に進展し,IPMN由来浸潤癌と呼ばれている.また5~10%の症例では,IPMNとは別の部位に通常型膵管癌が同時性あるいは異時性に発生することが報告されており,IPMN併存膵癌と定義される.併存膵癌の半数近くが2cm以下で発見されているのに対し,由来浸潤癌では比較的大きなものが多い.組織型については,併存膵癌のほとんどが管状腺癌であるのに対し,由来浸潤癌の約30%は粘液癌である.予後に関してはIPMN由来浸潤癌,併存膵癌のいずれも通常型膵癌と比較すると有意に予後良好である.IPMNから由来浸潤癌への進展にはさまざまな分子生物学的異常がかかわっていることが示唆される.IPMNで高頻度にみられるGNAS変異はIPMNから由来浸潤癌へのclonalityを示すことより,GNASはIPMN由来浸潤癌と(IPMN由来ではない)通常型膵癌を鑑別する強力なマーカーとなることが期待される.
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