膵癌update 2012
診断 膵癌の早期診断
田村 利尚
1
,
金光 秀一
,
皆川 紀剛
,
山口 幸二
1産業医科大学 第一外科
キーワード:
p53遺伝子
,
ras遺伝子
,
腫瘍侵入性
,
腫瘍-多発性原発
,
腫瘍マーカー
,
変異
,
粘液腺癌
,
DNAメチル化
,
Telomerase
,
膵管癌
,
MicroRNAs
,
腫瘍の早期診断
,
膵管内乳頭腫瘍
Keyword:
Adenocarcinoma, Mucinous
,
Neoplasms, Multiple Primary
,
Mutation
,
Neoplasm Invasiveness
,
Genes, ras
,
Biomarkers, Tumor
,
Genes, p53
,
Telomerase
,
DNA Methylation
,
Carcinoma, Pancreatic Ductal
,
MicroRNAs
,
Early Detection of Cancer
pp.476-484
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012223259
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予後不良とされている膵癌の治療成績向上のためには、膵癌の早期診断法の確立、膵癌のハイリスク群の同定は重要である。最近の分子生物学的手法の進歩により、膵癌の新たなバイオマーカーの検索、それらを用いた診断法の開発・検討が行われている。また、膵癌のハイリスク群が同定されつつあり、その一つとして膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)があげられる。IPMNは、それに由来する浸潤癌の発生とともに併存膵癌の存在が報告されており、IPMNは膵癌のハイリスク群と認識されている。今回、日本膵臓学会嚢胞性膵腫瘍委員会全国調査(チーム3)ではIPMN由来浸潤癌ならびにIPMN併存膵癌の定義が作成され、その頻度が示された。また浸潤性膵管癌との臨床病理学的な比較・検討がなされ、有意に予後良好との結果が得られた。IPMNにおいては、これら二つの関連膵癌の発生に十分注意しながら定期的な経過観察を行うことで、膵癌の早期発見に寄与するものと考えられる。
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