発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012360644
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60歳女。左前胸部腫瘤を主訴とした。3年前に食道癌に対しサルベージ手術を受けていた。画像所見等により、腫瘤は左大胸筋内に存在し、穿刺細胞診で腺管癌と診断されており、他の臓器に原発巣を疑わせる異常所見を認めなかったため、潜在性乳癌の左大胸筋転移を最も疑った。受診から3週間後の超音波で腫瘤の急速な増大を認め、先ず化学放射線療法を施行した。終了後、左大胸筋腫瘤は著明に縮小し、その他の部位に明らかな異常は指摘できなかった。しかし、超音波で腫瘤内に血流シグナルを認め、viable cellの残存を考慮して腫瘤切除術を施行し、病理組織的所見により、食道癌の左大胸筋転移と診断した。術後10ヵ月に多発性肺転移を認め、nedaplatin+5-FUを投与した。1年2ヵ月後に縦隔リンパ節転移を認め、docetaxelに変更したが、骨格筋転移診断後2年3ヵ月に死亡した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012