発行日 2012年6月1日
Published Date 2012/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012307406
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74歳女。2ヵ月前の下血時の大腸内視鏡、CTの精査より、直腸癌(Rb)、肝・肺転移と診断され紹介となった。直腸診では、直腸後壁に腫瘤を触知し、CEA、CA19-9の異常高値を認めた。下部消化管内視鏡では、肛門縁より40mmに1/2周性の2型腫瘍を認めた。胸腹部造影CTでは、直腸Rbに濃染を伴う壁肥厚、肝S4に径17mm大の低濃度腫瘤、右肺S8に葉間膜に接した径13mm大腫瘤を認め、遠隔転移と診断された。直腸低位前方切除術D3郭清、肝S4部分切除さらに胸腔鏡補助下に右肺S8部分切除を施行した。病理所見は、48×45mm大の2型直腸癌、tub2、pA、pN2、int、INFc、ly3、v3、肝標本はmetastatic adenocarcinoma、tub2、serosal invasion(+)、肺標本もmetastatic adenocarcinoma、直腸癌転移性肺腫瘍であった。補助療法5-FU/LV/L-OHP(mFOLFOX)を12コース施行した。初診後1年3ヵ月のCTで、左肺S6に3mm、S8に5mmの腫瘤を認め、2ヵ月後の再検でも同部の増大と右肺S8部部切除術後断端部に7mm大の腫瘤が出現しており、多発肺再発と診断した。胸腔鏡補助下に部分切除術を行い、病理検査の結果は、metastatic adenocarcinomaであった。約1ヵ月後のCTで右肺術後断端部の腫瘤増大と腹部傍大動脈リンパ節の腫大を認めたが、切除不能と判断し、二次治療S-1+CPT-11+bevacizumab併用療法を行い、現在まで21ヵ月のCRを継続している。
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