発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015263637
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67歳男性。心窩部痛と嘔吐を主訴に入院となった。初診時の腹部CTでは上部空腸の拡張が認められたが、第2病日目のCTでは初回よりも肛門側小腸の拡張と鏡面像が認められた。イレウス管を挿入して消化管内の減圧を試みるも、イレウス管の先進が少なく腹痛は持続、CTにて閉塞部位が肛門側に移動していることから食餌性腸閉塞と考え、第5病日目に手術の施行となった。術中所見では正中切開にて開腹し、拡張小腸を肛門側に検索すると、径3cm大の弾性硬の腫瘤が回腸末端から口側100cmと140cmの回腸内に触知された。以上より、本症例は数日前に多食した柿による食餌性腸閉塞と最終診断され、これらの腫瘤を用手的に破砕して結腸内に送り込み手術を終了した。だが、患者は退院から1週間後に再び腹痛と嘔吐が出現し、開腹術を行なったところ、拡張した空腸とその肛門側に腫瘤が確認された。以後、この腫瘤を摘出した結果、摘出標本は径32×33×46mm大で黒色、表面不整、弾性硬で、結石分析ではタンニンが98%以上を占める柿胃石と診断された。尚、アセトアミノフェン法による胃排出能所見では胃排出能遅延なしと診断され、再手術17日目に患者は軽快退院となった。
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