発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012270911
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症例は55歳男性で、嚥下障害で近医にて食道に巨大な有茎性ポリープを呈する腫瘍を指摘され紹介受診した。検査で炎症反応とSCC抗原の高値が認められた。上部消化管内視鏡で門歯から30cmに白苔に覆われた巨大な有茎性ポリープを呈する腫瘍を認め、生検では壊死性分が多く、悪性なるも組織型は不明であった。更に胃噴門直下に肉眼型0-IIa+IIcの胃癌を認め、生検では腺癌であった。食道造影・CT・MRIで胸部中部食道に水平方向約3cm、頭尾方向約7cmの隆起性病変を認め、食道癌肉腫を疑い手術を行った。開腹で噴門側胃切除を行い、右開胸で中下部食道切除後に胃管を挙上して食道切除断端に吻合した。病理所見では厚く白苔を呈した壊死組織に覆われ、内部は肉腫様の紡錘型腫瘍細胞が殆どを占め、ポリープ基部と茎部は中分化型扁平上皮癌で、一部粘膜下層に浸潤していた。診断は癌肉腫、胃癌は高分化型腺癌であった。術後17ヵ月経過で両癌腫の再発は認めていない。
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