発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009099206
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68歳男。患者は食事のつかえ感を主訴とした。上部消化管透視では胸部中部食道に表面に凹凸のある径6cm大の隆起性病変が認められ、食道内視鏡所見では犬歯から30cmの食道に亜有茎性の隆起性病変があり、表面に白苔が付着していた。Lugol染色で腫瘍は染色されず、病理組織診断は扁平上皮癌であった。一方、造影CTでは食道壁の肥厚は認められたものの、周囲への浸潤やリンパ節腫大はみられなかった。形態から癌肉腫を最も疑い、食道亜全摘術、胸腔内食道胃管吻合、3領域リンパ節郭清を施行したところ、切除標本肉眼所見では径6.0×3.8cm大の表面に糜爛のある隆起性病変と周囲にIIc病変が確認された。また、病理組織学的所見では隆起性病変の大部分は紡錘型の腫瘍細胞群がみられ、核分裂像も認められた。尚、肉腫部分と扁平上皮癌に相互移行はみられず、最終的に本症例は癌肉腫と診断された。術後は経過良好で、目下、術後2年経過で再発は認められていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2009