発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012159384
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14歳女児。左乳房のしこりを自覚し、その後急速に増大した。左乳房全体に硬い10×8×4cm大の腫瘤および軽度の皮膚発赤と圧痛を認めた。腫瘤は境界明瞭、弾性硬で胸壁への固定はなく移動性は良好で、触診では線維腺腫と葉状腫瘍が考えられた。マンモグラフィでは、左乳房全体が境界鮮明な腫瘤像を認め、石灰化は認めなかった。超音波では内部エコー全体は低いが不均一で、高エコーと低エコーの混在部分も認めた。胸部CTでは、左乳房全体の腫脹はあるが、腋窩や縦隔に有意なリンパ節腫大はなく、悪性所見は認められなかった。腫瘤核出術にて正常乳腺をほとんど切除することなく温存することができ、乳房の整容性も保つことが可能であった。病理所見は腫瘤の境界は明瞭で、間質、乳管の増殖および乳管上皮の重層化や乳頭状突起を認めたが、上皮異型は乏しく二細胞性も保持されており悪性所見は認められなかった。以上より、若年性線維腺腫と診断された。経過良好で、術後8日目に退院し、6ヵ月を経て再発徴候は認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012